沖縄は仏教や神道などの特定の宗教よりも先祖崇拝が盛んな、ちょっと変わった土地です。
とはいえ、総じて信仰心は強いです。沖縄のお宅は伝統的な琉球民家でもマンションなどの集合住宅でも、先祖を祀るための独特の形式の立派な仏壇があります。
たいていは造り付けで簡単に移動できないことが多いです。そして、生活の中でたびたび祈りをささげています。
お祈りの言葉が「ウートートー」というのも興味深いところです。また、お線香は6本が平たく束になったものを使うのも独特の習慣です。山も海もあり、台風や豪雨などの災害に翻弄される一方で、農作物などの恵みをもたらしてくれる自然。恐れ多くも豊かな自然そのものを敬い、自然の中に神を見出す「自然崇拝」も盛んに行われています。
山には山の神、海には海の神がいると信じているため、古代からいたるところに聖地が設けられています。
特に海の神様の「ニライカナイ」は全国的に有名です。ただそそのように神聖な場所でも、内地(沖縄以外の日本本土)のように神社、仏閣のような形式となっていないところも多いもの。
このように、一見わかりにくくても、沖縄にはいたるところにパワースポットと呼ばれる場所が点在しています。地元の人は古くから続く神聖な場所に敬意を払い深く信仰し、先祖代々大切に守り伝えてきました。
そうした場所には、地元の人や信者だけでなく、観光客も訪れるようになりました。特筆すべきは御嶽(うたき)と呼ばれる場所です。
一般的なパワースポットよりも、格段に神聖な場所とされています。この場所には、「神話に出てくる神さまが住んでいる」「神様が訪れる」「自分たちの祖先が眠っている」などと言い伝えられます。
さらに、沖縄には霊能力を持った「ユタ」と呼ばれる人たちがいます。ユタの人たちはその霊能力を使って、人の悩み相談に乗るのを仕事としています。巫女のようなものともいえるでしょう。
ユタはそうした日常仕事のかたわらで、御嶽のような聖地で修行をするそうです。
沖縄のパワースポットとは、ユタの修行霊場でもあるため、興味本位や遊び感覚で近づかないほうがいいところもあります。
とはいえ、占い館のような気楽な感覚でユタの占いを受けられる場所も増えています。沖縄とは、独特の文化・風習・信仰を持ったすばらしい土地です。
観光気分で沖縄のパワースポットをめぐるときや、ユタに会って占いを受けるときなどは、自分の私利私欲を満たす、欲望を叶えるためだけでなく、ありがたい神様や自然への敬意を思い出すきっかけにしてください。
また、それらのスポットは沖縄の人たちが大事に伝えてきた先祖崇拝の聖地であることを忘れないようにしましょう。